広沢瓢右衛門。浪曲師。 悪声ゆえに我、長命す。

声は悪かった。 いや、声が悪いのは浪花節の常、別に発声の基礎を学校で折り目正しく習うような芸でもない。潮風に向かってまず声をつぶすのが入門当初の弟子のやることという時代。にしても、彼の声は悪かった。 その悪声のおかげで、決して大看板の人気者にはなれなかった。その他おおぜい、その頃膨大にこの国の隅々ま…