柳田国男論 吉本隆明

[法制局参事官として閲読した犯罪調書のうち柳田の心にかかったのは] おなじ出生、おなじ環境に迫られたとしたら、誰もがおなじ殺人や、自殺や、死に至る犯罪にゆきつくほかない。そんな必然のようなものがこれらの調書には体現されていた。偶然が積み重なってゆくと、そのまま必然になり、その必然の曲線がほとんど例外な…