トルストイ「クロイツェル・ソナタ」を読む (第1回) トルストイとは40代までの自分の放蕩生活を棚に上げて「禁欲主義」の説教を行った人。妻・ソフィアを「世界三大悪妻」に数え入れるのは明らかに理不尽

私が初めて読んだトルストイの小説は『アンナ・カレーニナ』で、もう40年前のことだった*1。これは面白かったが、次に読んだ『戦争と平和』にはへこたれた。特に、物語の流れをしばしば中断して長々と展開されるトルストイの自説の開陳に辟易し、それでもなんとか全部を読み切ろうと思って悪戦苦闘しながら、最後は意地で…