福田恆存の「政治と文学」その2

福田恆存は、「一匹と九十九匹と」や「人間の名において」(いずれも一九四七年)によって、主に中野重治と荒正人、平野謙との間で繰り広げられた、いわゆる戦後「政治と文学」論争にコミットした。 特に「一匹と九十九匹と」は高名だが、福田はそこで、ルカ伝の「なんじらのうちたれか百匹の羊をもたんに、もしその一匹を…