『転生したら堕天使だった、私にはお似合い(後編)』

雑居ビルの玄関は、両開きのガラス扉だった。 色の濃い分厚いガラス戸で、建物の内側はうっすらとしか見えない。 白美(しろみ)がおそるおそる中の様子をうかがっていると、脇から人の気配が近づいた。 「あんた、うちに何の用や」 見ると、大柄な男だ。 表面に光沢のある生地のスーツの上下で、つま先の長い革靴を履いて…