感想『愛しのグレンダ』フリオ・コルタサル著〜コルタサル読みはじめの幸福。恋人が寝息をたてて眠るその横で、彼は〈自分にむけて〉物語を話しだす『自分に話す物語』。

優しいけれどちょっと馬鹿。 そんな男の語る倒錯したラブストーリーってやつがあるとしたら、それは個人的にとても好きなジャンルの小説だ。いちいち主人公の言うことが共感できて、こころがリズミカルに弾みだす感覚が味わえる。 本書『グラフィティ』『自分に話す物語』の二編にそんな雰囲気を感じ取り、ウキウキと読み…