【通りすがりの怪談】怪其之八十九 ~黒猫~

怪談 ~黒猫~ 横山が暮らすマンションのほど近くに、公園がある。砂場と、木陰に据えられたベンチがひとつだけしかない小さな公園。日中は、子どもたちが遊ぶ楽しそうな声が響いているが、夜になると人影は絶え、闇に沈むように静まり返る。横山はいつも、仕事帰りにその公園の脇を通る。その夜は残業で、自宅の最寄りの…