小説: わんぐっどてぃんぐ 第一部 戦中編 第二章 召集令状 3

家に戻ると房や村人の思いもよらぬささやかだが心尽くしの壮行会で、権太は酒を飲まされた。皆のわざとらしい笑顔や、房の今にも泣き出すのをこらえた目が、この若者の定めを言葉にせぬままわかっていると伝えていた。 やがて、村人は万歳と何度も声を合わせると帰って行った。 「権太さん、まだ起きてますか」 花の声に権…