小説・「海のなか」(24)

前話はこちら。 kuromimi.hatenablog.com *** もう秋になり始めた頃のことだった。秋といってもまだまだ残暑は厳しい。言い訳のように頭上では鱗雲が透き通り、もう秋だと主張していた。 放課後を俺はまた愛花と過ごしていた。この頃は帰りが一緒になると、アイスを交互に奢るのが習慣になっていた。涼しい店内に人は少…