KUROMIMIには本が足りない。
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小説・海のなか(43)
前話はこちら。 kuromimi.hatenablog.com *** 境内に誰もいないことを悟った時の心情をどう言い表せばいいだろう。虚しかったわけじゃない。悲しかったわけじゃない。ただ、心底がっかりしていた。今日も当然のように夕凪がそこにいると無根拠に信じていた自分自身に。 俺たちには約束がない。確信もない。すべて分かっ…