泉鏡花『外科室』1895

その時の二人がさま、あたかも二人の身辺には、天なく、知なく、社会なく、全く人なきが如くなりし。 短篇小説。一度目をかわしただけで恋に落ちた男と女が、幾年の後、外科医師と患者の伯爵夫人として再会し、愛に殉ずる。 文庫にして18頁しかない。この短さ故に鏡花は、「愛の理想とは一瞬に凝結し、それが永遠である」…