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『羊と鋼の森』宮下奈都
森の匂いがした。秋の、夜に近い時間の森。風が木々を揺らし、ざわざわと葉の鳴る音がする。夜になりかける時間の、森の匂い。 冒頭の一文を読んで、「あっ、これは……」と思いました。 初めて入るレストランに一歩足を踏み入れた瞬間、この店はきっと自分によく合う店だと感じてしまうあの感覚に似ています。 その人が鍵盤…