多和田葉子著『旅をする裸の眼』 ベルリンとパリ

その春、東ドイツから、「アメリカ帝国主義の犠牲者のナマの声を聞きたいので、若い人を一人、ベルリンで開かれる全国青年大会に送ってほしい」という手紙が、わたしたちの学校に届いた 一通の手紙をきっかけに共産圏から連れ去られてパリに流れついた少女。彼女はホーチミン市がまだサイゴンだった頃に生まれ、80年代半ば…