突然、エピローグへ − ドストエフスキー『罪と罰』6(訂正あり) 

彼女はいつもおずおずと手を差しのべた。ときには、彼にふり払われはすまいかと恐れるように、まったく手を出さないこともあった。彼は、いつもしぶしぶとその手を取り、いつも怒ったように彼女を迎え、ときには彼女が訪ねてきている間、かたくなに口をつぐんでいることもあった。彼女がすっかり彼におびえ、深い悲しみに…