つないでみると、

目の前の二人が手をつないでいる。一人の手がもう一人の手のひらの上で重ねられ、指と指が交互に絡みあって簡単には外れないようになっているのだけど、それは真白な貝殻のようにも、得体のしれない生命体の交尾のようにも見えた。路面電車が停留所にとまってその二人が降りたあとも、空いた席ではまだ残像たちが手をつな…