小説「バーチャル孫遊び」|カエサル

 広く豪奢な屋敷の中、椅子に座る老人に対し男が立ったまま話しかけた。 「VRChat、というものがございまして」  そういった近藤の声には少しの緊張が含まれていた。 「ぶいあー…………何だ?」  目の前の老爺、富永福蔵(とみなが ふくぞう)七十八歳は、近藤の言葉を聞き取れてもいなかった。  富永は主人、つま…