『南の島のティオ』池澤夏樹 ~ 子どもにとっての豊かさとは|カンバセーション・ピース

子どもにとっての「豊かさ」にあふれた小説。この夏もまた読み返しました。 1990年代前半、南太平洋に浮かぶ小さな島で暮らす13歳の少年ティオ。特筆すべきは、一冊を通じて、「学校」そして「母親」がまったく出てこないこと(どちらも存在しているのは確認できる)。島で小さなホテルを営む父親は、いわば情報屋として…