長嶋 有『猛スピードで母は』を読んで|伊中悦子
麦チョコのようにやさしい文体で、 はじけたポン菓子のような現実をコーティング 小説『サイドカーに犬』は、小学4年の夏に母が家出したときの話。父の愛人が来て、エサのように与えられたのが「麦チョコ」。 麦チョコは密閉した麦を加熱して圧力を高め、急に蓋を開くことで麦を膨張させ、それにチョコレートをコーテ…