経験(≒わたし)の分配――法条遥『バイロケーション』と『リライト』(1)|furuyatoshihiro

古谷利裕 1.「わたし」の唯一性のゆらぎ 法条遥は、二〇一〇年に日本ホラー小説大賞長編賞を受けてデビューし、本稿執筆の時点では『バイロケーション』『地獄の門』『リライト』『404 Not Found』の四冊の長編を出版している。本稿では『バイロケーション』と『リライト』について言及する。これらの作品についてネタバ…