夢の場所、フレームの淵/『水死』(大江健三郎)論 (2)|furuyatoshihiro

古谷利裕 4.  大江の近作において、起こったことと書かれたことという異質な系列の重ね合わせが重要であることは既にみた。しかし同時に、読んだこと(読むこと)の重要性も見逃すわけにはいかない。だが、前作『﨟たしアナベル・リイ…』が、まさに読み替え、書き換えることが主題化されていたのに比べれば、本作…