【劇評208】坂本昌行と安蘭けいによる緻密な台詞劇『オスロ』|長谷部浩

 オスロ合意と聞いて、すぐに中東問題の画期的な事件と思う人も少ないだろう。  一九九三年九月十三日、イスラエルとパレスチナ解放戦機構(PLO)が、これまでの血で血を洗う闘いから、和平へと一歩踏み出した合意である。  憎しみの連鎖のなかにいた両者が、北欧のノルウェーを舞台に、社会学者のチリエ・ルー・ラーシ…