【連載】岩波文庫で読む 「感染症」第3回|現実がゆらぐとき、物語は世界を照らす灯となる ボッカチオ『デカメロン』|山本貴光|コロナの時代の想像力

 日頃はとかく「役に立たない」と無理解にさらされることの多い文芸だが、このたびの新型コロナウイルス感染症パンデミック下では、過去の物語があらためて思い出され、読まれている。ボッカチオの『デカメロン』はそのひとつだ。  例えば、『ニューヨーク・タイムズ・マガジン』 による「デカメロン・プロジェクト」…