知らないあなたへ、都市で会いましょう|巨大都市殺し|高島 鈴|かしわもち 柏書房のwebマガジン
1 何もできぬうちに部屋に吹き込む風が生ぬるくなる。私は抗うつ剤を変えたせいで一月の間吐き続け、体重が三キロほど落ちた。同居人とは諸事情でルームシェアを解消することになり、私は広い部屋に一人で残された。気づけばこの四十平米の城に、窓を開けることもできないほどの猛暑が訪れていた。夏であった。 なん…