【詩】前ぶれ|加澄ひろし|走る詩人

ヤマブキの、ナノハナの、 首をのばすタンポポの、 黄色があざやかだ 白いナズナが、ユキヤナギが 風に揺れて、手招きしている しきりに、手をふっている サクラは、色あせてしまった 深々と、みどりにつつまれて はなやかだった、森の入り口で おだやかに、夏を予感している 樹は、乾いた鎧を脱ぎ捨てた 薄い苔の衣をま…