記憶を記録する|Keiko.

母の記憶の中に、今、私は存在しない。 誰よりも家族を愛し、どんな時も優しく笑っていた母。 家族が母の変化に気づいたのは母がまだ60代前半の頃。 それから少しずつ、でも確実に、母の記憶は消えていって。 数年後には娘である私のことも、宝物のように可愛がっていた孫のことも、最愛の夫である父のことも、全部、母の…