【和田義盛】怒濤の一矢|北河内呑兵衛

鎌倉の空は、どこまでも高く晴れ渡っていた。しかし、由比ヶ浜に打ち寄せる波の音は、どこか不穏な響きを帯びている。 和田左衛門尉義盛は、由比ヶ浜の自邸の縁側にどっかと座り、愛弓の弦を弾いた。賓、という硬い音が静寂を震わせる。還暦を過ぎ、白髪の混じり始めた義盛だが、その筋骨逞しい体躯と、爛々と輝く眼光は…