【高山彦九郎】不帰の旅路|北河内呑兵衛

その男、高山彦九郎は、泥を噛むような思いで京の町を後にした。 背負った風呂敷包みには、ぼろぼろに擦り切れた日記と、わずかな筆墨、そして揺るぎない「志」だけが詰まっている。身なりは浪人のそれでありながら、その眼光だけは、道行く諸侯の誰よりも鋭く、また哀しいほどに澄んでいた。 彦九郎の名を世に知らしめ…