小説『天使さまと呼ばないで』 第1話|小咲もも
5歳になるまで、私には"天使"が見えていた。 ・・いや、あれが厳密に"天使"だったかどうかは、わからない。 ただ、空がよく晴れている時、私が楽しい気分でいる時、視界の片隅にチラチラと白く光るものが映ることがあったのだ。 私はそれを「てんしさん」と呼んでいた。 「ねえ、おかあさん、あそこにてんしさんが…