愛媛新聞「四季録」08 道後鉄道の路線跡と夏目漱石『坊っちゃん』|青木亮人

夏目漱石の小説『坊っちゃん』(明治39)には「汽車」がよく登場する。有名なのは、船で三津浜(と思われる港)に着いた坊ちゃんが汽車に乗る場面だろう。 停車場はすぐ知れた。切符も訳なく買った。乗り込んでみるとマツチ箱のやうな汽車だ。ごろごろと五分ばかり動いたと思ったら、もう降りなければならない。道理で切…