君と見たい景色、君に見せたい景色|真木崇志

君と見たい景色  君と見たい景色がある。  君に見せたい景色がある。  駅のホームに緑色の電車が停車した。すぐに車両に乗り込み、端の空いていた座席に僕らは座った。それから僕は鞄から本を取り出し、母さんは手に持っていた電話の画面に視線を落とした。この電車に乗るのも、もう何度目だろうか?物心つく前からだ…