多和田葉子によせてⅡ 母語を出る旅と孤独|みらっち

 多和田さんのことを、私は本来、語ることなどできない。  私は学のない一般の市民であり、路傍の石のような主婦である。尊敬している作家さんは何人もいるが、そのどなたの作品も全部は読んでいないし、学者のように読み込んでもいない。  大変一般的な意味で「読んだ」という、それだけだ。  にもかかわらず、多和…