金がないときほど計算が捗る「M氏」|中田満帆

 M氏は計算が苦手である。小学生のころから算数が不得意で、大人になって工場や倉庫で働いてからも、数字が出てくると途端に頭が動かなくなった。ところが金がないときだけは別である。財布のなかに¥1,000しかなければ、あと何日生きられるかをたちどころに計算する。数字には弱いはずだったが、金がないときだけ計算能…