短編小説 駅前ひろばの片隅で【第0夜】プロローグ|里坂久雄

プロローグ 今宵も、初夏の風が駅前の広場を横切っていく。 道行く人々には、それぞれの人生がある。 スマホで笑いながら会話する人も、急ぎ足の人も、うつむいて歩く人も、誰もがその胸の奥に、誰にも言えない夜を抱えている。 駅前ひろばの片隅で、ひとりの男がギターの弦をゆっくりと鳴らす。 男は深く息を吸い、吐…