【短編小説】 髪ングアウト!|鹿石八千代

「春です! 新しい自分でそよ風を感じてみませんか?」  リビングでテレビのCMを何の気なしにみていた船橋は、はじめは何のことだかサッパリ分からなかった。よくよくみれば女性用ウィッグのCMだった。最近では女性の薄毛のCMが増えてきたなあ、と感じながら船橋は口にしていたコーヒーカップをゆっくりとテーブルの上…