【連作短歌】踏まれた薔薇|瑞木理央 〜水の領域(短歌と詩)〜

殺意閃くさくらばな殺す側にわたしはきっとなれないでしょう      * 心臓が裂かれる音をきいていた箱庭の薔薇踏みしだかれて 花には花の痛みがあってこの夜も誰かが水の包帯を巻く 花の文字、薔薇の言葉を解さないヒトらの靴の裏で花片は どの薔薇も怯えたように目を伏せて内なる空を吸い込んでいる 怒りには…