【連作短歌】 旅立ち|瑞木理央 〜水の領域(短歌と詩)〜

生き終えた樹木が朽ちてゆくようにわたしの湖(うみ)も乾きはじめる なつかしい匂いの部屋に包まれて時計の音に別れを告げて にんげんのかたちを解いて生命のはじまりの夜を迎えにいこう ひび割れた記憶の束はぜんぶぜんぶベッドの上に置いて、わたしは ひかる窓ひかる天井ひかる扉(ドア)ひらいてひかる道がうまれ…