二塁を廻れ|山羊的木村
晩夏の夜の雨。秋雨にはまだ早い時期だが、この間まで街を包んでいた熱気が嘘のように肌寒い。足を運んだチェーン店の居酒屋。平日という事もあり、客は少ない。 席を案内しようとする店員を制して彼を探す。すぐに分かった。 「元気?」 「まあ、そう言われたら、まあな、ぐらいで返すしかないよな」 テーブルを見るとま…