誕生日の願いごとは全部、君にあげるよ|岸田奈美|NamiKishida

弟はかつて、ガラスを割った罪をなすりつけられたことがある。 弟が14歳のときだった。 中学校が終わっても、弟がちっとも帰ってこない。 「ちょっと見てきたって」 母に言われ、わたしはしぶしぶ靴を履いた。マンションのエレベーターに乗って、一階エントランスで降りたら。 制服を着た弟の背中が見えた。 おるん…