80 「おてんとさまが見てるよ」|雑誌『広告』
「おてんとさまが見てるよ」 そんな母の台詞が脳裏に浮かべば、わるいことはよそう、と踏みとどまれるものだった。 誰かのお菓子をこっそり食べるとか、親の財布から少しねこばばするとか、道端にゴミをすてるとか。そうした類の悪事には極力手を染めない、そんな子どもだった気がする。目の前に誰もいなくたって、おて…