恋草|フリーランス編集・ライター 松本史(まつもとふみ)

南に向かう鈍行に乗り、海の近くの駅で降りた。 海まで2キロの田舎道を、彼と一緒に歩く。 大学生になって初めての夏を、私はもてあましていた。 うだるように暑いのに、何も起こらない退屈な夏休み。 ちょっとしたイタズラ心だったのだ。 「一緒に遊びに行こうよ」って言ったのは。 とびきり無口で恥ずかしがり屋な彼の…