プロローグ――ポール・カラニシ『いま、希望を語ろう 末期がんの若き医師が家族と見つけた「生きる意味」』|Hayakawa Books & Magazines(β)

 私はCT画像を次々と見ていった。診断は明らかだった。肺全体が無数の腫瘍に覆われ、脊椎は変形し、肝臓の一葉全体ががんに取って代わられていた。全身に転移したがん。私は脳神経外科の研修医(レジデント)で、研修期間の最後の年を迎えていた。この6年の研修のあいだに、患者を救えるなんらかの方法があるのではな…