アリアンテ|Mist

 私の心の中にはいつでも夏がある。取り出して触れることは出来ないけれど、ガラス壜の中の船のように、眺めていることは出来る。と、大滝詠一をかけながら昼食の買い出しに向う車内で思う。窓を開けていないととても我慢出来ないほどに日照りに蒸し焼きにされそうな白昼だった。初夏はいつでも爽やかな気がするけれど、…