第五病棟|Mist

 病室の窓からはビルと少しの空が見えた。右腕に点滴をつないだまま、私はそっと横たわって窓の外を眺めた。朝がいちばんまぶしくて、夕方にはまだ空が青いのに、なんだかもう夜の気配が感じられることに気づいた。日々の中で私はもう空を見上げる時間など失ってしまっていたのだろう。高校生の頃、帰り路の私は、農道を…