キの迷宮|関根裕治

ひとり暮らしの部屋でくつろぐ深夜 『独裁者』を観ながら笑っていたら 急にドアが開いてだれか入ってきた そいつは自分の部屋みたいにあがりこみ 「はァ 見つかんねえやィ」と言って カウチソファの隣に座った 見覚えのないカモノハシだった カモノハシは水かきで目をこすりながら 「さんざん探したんだがよ…