unrequited|鈴木のすり

「いってきます」 アパート特有の金属性で分厚い扉を押しながら、玄関に立つエプロン姿の母に声をかけ、家を出た。 背後でガシャンという冷たい金属音を聞き、肩の通学鞄をなんとなしに掛けなおす。 外に面した廊下の、手すり越しに見える下界の景色は、朝の透明な光に照らされやけに明るく澄んで見える。 エレベーターを…