大切だと思っていたものをなくして、途方に暮れた先にあったもの|なかむら みか

*この話はフィクションです。 「ごめん。やっぱり、結婚できない……」 直樹は、頭を下げて、テーブルを見ながら、そう言っていた。 一瞬、私は、何が起こったのか、わからなかった。 直樹は、頭を下げたまま、上目遣いで、私の顔を一瞥し、 「本当にごめんなさい」 今度は、テーブルに、頭をつけてそう言った。 直樹と私…