うみなおし

今はもうすっかり小さくなってしまった海の、赤い汀線に跪く男がいる。男のひどく肥大した腹は浜に接して潰れていて、海水が通る度に浜に流れの模様を残す。粘度の高い赤い塩水が腹と浜に揉まれて泡立ち、膨れた腹の皮膚に張り付いていた。腹は今も少しずつ膨らみ続けていて、周期的に収縮したりはしていない。男は呼吸を…