古本夜話1330 阿部真之助『現代世相読本』

『神近市子自伝』に戻ると、そこには思いがけない人物が出てくる。それは神近の東京日日新聞社の婦人記者としての社会的ポジションと英語ができる女性という評判が作用していたのであろう。ところがそうしたキャリアも、大正五年に大杉栄との恋愛問題で反故にされてしまった。そこで頼ったのは玄文社の結城禮一郎で、神近…