odd_hatchの読書ノート
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ジョルジュ・ローデンバック「死都ブリュージュ」(岩波文庫) 妻を亡くした〈オルフェオ〉は憂鬱な地獄に絡めとられて脱出できない。
沈黙と憂愁にとざされ,教会の鐘の音が悲しみの霧となって降りそそぐ灰色の都ブリュージュ.愛する妻をうしなって悲嘆に沈むユーグ・ヴィアーヌがそこで出会ったのは,亡き妻に瓜二つの女ジャーヌだった.世紀末のほの暗い夢のうちに生きたベルギーの詩人・小説家ローデンバック(一八五五―九八)が,限りない哀惜をこめて…