ポール・ニザン「アデン・アラビア」(晶文社) 〈この私〉に違和感を持つ若者の不安で苛立たしく衝動的で落ち込みやすい気分の描写。

ぼくは二十歳だった。それがひとの一生でいちばん美しい年齢だなどとだれにも言わせまい。 一歩足を踏みはずせば、いっさいが若者をだめにしてしまうのだ。恋愛も思想も家族を失うことも、大人たちの仲間に入ることも、世の中でおのれがどんな役割を果しているのか知るのは辛いことだ。 怒りを向けよ。きみらを怒らせた者…